(2) 電磁波の発見と遠赤外線

遠赤外線の基礎に戻る

 
 

電磁波の発見

電磁波の存在は1800年代に英国の物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルにより予測され、独国の物理学者ハインリッヒ・ヘルツの実験により証明されました。
また電磁波は粒子としての性質を持つことを1900年代にアルベルト・アインシュタインが量子力学で証明しています。量子力学では光(電磁波)は光子として量子化して扱われています。

身近にある電磁波

 テレビ、リモコン、蛍光灯、携帯電話、電子レンジ等に応用され身近なものになっています。

宇宙からの電磁波

身の回りだけではなく宇宙からも様々な電磁波が飛んできます。しかしエネルギーの大きなガンマ線やX線・紫外線の一部はオゾン層で吸収され生物に被害は起きません。
25μ以上の遠赤外線と電波の一部も大気に吸収され地表までほとんど届きません。宇宙からの電磁波で地表まで届くのは可視光・近赤外線・波長1cm~100mの電波だけです。

電磁波とは

電流を流すと磁場が発生し、電流の向きを変えると磁場の向きも逆になる。そして磁場の向きと直交する電場が発生する。また電流を逆に流すと磁場の向きが逆になり、電場の向きはさらに逆になる。そして逆向きの磁場が発生する。
この交互に振動する電場と磁場が波となって空間に放出されたのが電磁波である。こうして発生した電磁波の速度(30万Km/sec)は光と同一であることがわかりました。これが光は電磁波の一種であるという理由です。

遠赤外線は電磁波の一種

X線・紫外線・可視光・赤外線・マイクロ波まで波長によらず伝播速度は一定であり30万Km/secです。すなわちどの電磁波もその速度は光と同じであります。また空間そのものがエネルギーを持って振動するため真空中も伝播します。
空間中を直進するが、物体があると吸収・屈折・散乱・回折・干渉・反射等が起きます。空間ではその強度は距離の2乗に反比例して減衰します。すなわちどの波長も電磁波と同様なので電磁波の一種と言えます。電磁波は波長により性質が違うので前項の様に分類しています。
このことから可視光線が電磁波の一種であるといえます。

電磁波の発生

電界と磁界から生み出される電磁波以外に発生する電磁波があります。

原子からの電磁波発生

原子がエネルギーを与えられると電子が励起状態になり、すぐに安定した基底状態に戻ります。その際余分なエネルギーを電磁波として放出します。
原子の原子核が励起する位の巨大なエネルギーを与えると原子からγ線が放出される。原子が励起する程度のエネルギーを与えると可視光を放出する。

分子からの電磁波発生

分子にエネルギーを与えるとより激しい分子振動や回転運動が起き励起状態になります。
そしてすぐにエネルギーが低い状態に戻るため電磁波を放出します。分子振動からは赤外線が放出されます。分子回転からはマイクロ波が放出されます。

加熱からの電磁波発生

物体を熱すると赤くなり高温になるに従ってピンク色から黄色味を帯びた色になります。つまり色が見えるということは可視光線(光)が出ていると言う事で光は電磁波の一種であるから熱せられた物体からは電磁波が放出されているといえます。
温度を持つ物体すべてから電磁波である赤外線が放出されています。電磁波と物質は物質を構成する原子や分子が電磁波を吸収し、放出する相互関係にあり、此の事が遠赤外線の効果を説明する上での重要な項目となります。

遠赤外線

赤外線は波長により近赤外線と遠赤外線に分けられます。その境目は2.5μ、3μ、4μと学会により異なります。(社)遠赤外線協会では物質の吸収波長は3μ以上にあることから放射波長も3μ以上を遠赤外線としています。
またヨーロッパでは赤外線をさらに分類して2.5~4μを中赤外線としています。遠赤外線を加熱目的で使用する場合、有効波長は25(30)μ位迄といわれています。15μ以上になると放射エネルギーが徐々に弱くなっていきます。

蛇足

赤色光線より波長の長い光を赤外線、紫光線より波長の短い光を紫外線、その中間の波長範囲を可視光線としているのはあくまでも人間が標準です。
昆虫は赤を感知できず鳥は黄色を感知できないので彼らにとっては可視光線ではありません。紫外線を感知する生物もいるので彼らにとっては可視光線となります。