5. 遠赤外線(赤外線)への誤解について

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1.赤外線コタツの赤色について

赤外線(遠赤外線)とは可視光線の赤色より波長の長い光で人間の目には見えません。
赤外線コタツは赤色をしている為、赤外線は赤だと勘違いをし易い。
これは赤色を付けていないと点灯しているかどうか判らないためと赤色が店頭や室内で温かさを感じるためです。

2.遠赤外加熱は物体を内部から温める?

電磁波は波長が長い方が物体に浸透する能力が大きくなるので、遠赤外線を用いることにより、対象物を内部から温めることができる。
加熱方式に関わらず殆どが表面からの加熱となります。
遠赤外線の内部への浸透は200μ位でしかありません。
遠赤加熱も物体の表面を加熱し内部へは熱伝導で熱移動します。

他の加熱方式と比較して表面での熱の授受が大きく違うため、内部への熱流が大きく表面と内部への温度差がほとんどなく加熱させます。
そのため塗料の乾燥では表面と内部の溶剤が同時に抜けていくので強熱しても発泡やクラックは起きにくいのです。物体を内部から温めると言うのは間違いです。

3.遠赤外線の健康への効果

遠赤外線を当てることにより人体の水分子が活性化し血行促進・新陳代謝に寄与し健康に良いと言うような宣伝が見受けられますが現時点では科学的に実証されていません。
遠赤外線加熱は人体の表面を温めるのではなく、芯から温めるという宣伝もよく見かけます。
遠赤外線は人体の表面での吸収が非常に良いため殆どが深さ200μ位の所で吸収されてしまいます。ですから芯から温めると言う事もありません。

4.人体への影響について

可視光線より紫外線・X線・γ線と波長が短くなるにつれ浸透性が強くなり人体に悪影響が出てきます。
紫外線はエネルギーが強く多くの物質と相互作用があります。
また赤外線より波長が長いマイクロ波も人体に損傷を起こすといわれています。
可視光(光)や赤外線は、化学反応を起こすほどのエネルギーはなく、特に赤外線の持つエネルギーは物体を加熱できるだけです。
20μ以上の赤外線はさらにエネルギーが弱く加熱すらできず、センシングに使われています。

5.電磁波汚染について

人工的に作られた強力な電界と磁界から生み出される電磁波(レーダー・マイクロ波・電波)は直接人体に悪影響を及ぼします。
これに比べ遠赤外加熱はセラミックス材料を加熱したときセラミックスを構成する原子の電荷が励起し放射するもので速度・振幅・波長をもつ波であることから電磁波の一種であるとされています。
セラミックスに限らず身の回りの温度を持つ殆どの物から遠赤外線は放射されています。
従って電磁波の一種と言える遠赤外線の人体への悪影響は無いと言えます。

6.電磁波過敏症

電磁波過敏症とはある程度の電磁波を浴びると、身体が鋭敏に反応する症状をさします。
電磁波は波長の短い方からγ線・X線・紫外線・可視光線・赤外線・マイクロ波・電波となるが、電磁波過敏症問題となるのは低温やけどのような熱的効果ではなく非熱効果の電磁波そのものによる被害の事を言い、対象となるのは電波の領域であります。