(3) 加熱方式(電気)と遠赤外線加熱

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遠赤外線加熱の熱源には電気、ガス、オイル等が使われています。弊社は電気を熱源とした遠赤外線ヒーターと設備を専門としています。電気は制御し易く高精度・高効率の熱処理ができます。
電気エネルギーを熱エネルギーに変換して使用するシステムで生産工程に利用されている。電気加熱の方式には抵抗加熱、誘導加熱、誘電加熱、マイクロ波加熱、ヒートポンプ、赤外加熱等があります。赤外加熱の中でも遠赤外加熱は効率の良い熱源として幅広く利用されています。

1)抵抗加熱

発熱体に通電して発生する熱を利用する電気炉(間接抵抗加熱)が多く使用されています。被加熱物を間接的に加熱し低温から高温域(3000℃)まで温度設定ができます。
 特に高温での熱処理に特徴があり金属の焼き入れ、金属や非金属の溶解、セラミックスの焼成等幅広い分野に利用されています。

2)誘導加熱

電磁誘導を利用して被加熱物体中に発生するジュール熱で加熱します。必要な部分を急速に加熱できるのが特徴です。
低周波誘導炉と高周波誘導炉がありますが、いずれもイニシャルコストは割高ですが、溶解(鋳鉄・ダイカスト鋳造等)、熱処理(焼き入れ、焼き戻し)、熱加工(鋼線加熱・薄板加熱・金型加熱・真空焼結)等に利用されます。火を使わない調理器として電磁調理器に応用されています。

3)誘電加熱

被加熱物に高周波電圧を加え、その構成分子の衝突や摩擦により発熱させるものです。4~80MHzの周波数を使用するのがほとんどです。急速加熱ができますが、被加熱物が誘電体であることが条件となり、金属や金属が混入した物には利用できません。
木材の乾燥、熱硬化樹脂の予備加熱、繊維の乾燥等に応用されています。互いに向き合った電極間に誘電体(被加熱物)を置いて加熱します。

4)マイクロ波加熱

電子レンジの様に誘電加熱よりさらに高い周波数(2450MHzのマイクロ波)の電磁波(電波)を利用するものです。金属には利用できませんが、水分を持つ物を急速加熱できます。
陶磁器の乾燥、食品の解凍、調理等に利用されています。オーブン内に置かれた誘電体(被加熱物)に電波を照射し加熱します。

5)ヒートポンプ

冷媒を利用し冷却と加熱を同時に行い、排熱から熱を回収し再利用するのが特徴です。エネルギー効率が高く、省資源・省エネになり安全性が高いクリーンな冷暖房・給湯が可能です。
高温加熱には向きませんが、木材の乾燥や食品の解凍・乾燥等低温分野で効果があります。

6)遠赤外線加熱

3μ以上の波長を放射するヒーターを用い効率良く加熱する方法です。有機物や高分子物質(塗料・プラスチック・食品等)は3μ以上の電磁波を良く吸収し発熱します。高い加熱効率(省スペース化・生産量UP)・良好な温度分布(品質の向上)・容易な温度制御(自動化)・クリーン加熱等により幅広い範囲で用途が広がっています。
金属やプラスチックの器具・部品などの塗装乾燥硬化、プラスチック製品の予熱・加工・アニール、基板加熱、食品加熱等様々な分野で利用ができます。