7.中赤外線と遠赤外線の違いは何でしょうか。

日本では、有機物や高分子物質は3μ以上の長波長域にほとんどの赤外吸収があることから3μ以上の波長を放射するヒーターを遠赤外線ヒーターと称しています。
日本の一般的な遠赤外線ヒーターの表面温度は600℃前後が多く黒体に照らし合わせるとピーク波長は3.3μで3μ以上の放射量は全体の80%以上となります。
一方ヨーロッパでは既存の赤外線ヒーターを分類するとき、発熱線の温度から理論上の物体である黒体の放射エネルギーのピーク波長に照らし、2000℃のヒーターは1.27μであり、2μ以下の放射エネルギーは57%、5.5μ以下の放射エネルギーは90%にもなります。
1000℃のヒーターのピーク波長は2.28μであり、2~4μの放射エネルギーは48%であることから、前者(2μ以下)を近赤外線ヒーター、後者(2~4μ)を中赤外線ヒーターと称しています。
そして4μ以上の放射波長を持つヒーターを遠赤外線ヒーターと分類しています。しかしながら1000℃の遠赤外線ヒーターの3μ以上の放射は55%以上あります。
この考え方では遠赤外線にするためピーク波長を長波長側に持ってくれば温度は下がります。それでは加熱効率が上がりません。例えば黒体型で4μ以上のピーク波長を持つヒーターの表面温度は450℃以下となります。
実際にものを加熱するのはピーク波長がどこにあるのかではなく、長波長側すなわち遠赤外領域にどのくらいエネルギーが放射されているかが加熱効率に関わってきます。
このことから日本の遠赤外線の分類方法は非常に合理的だと思います。