39.放射率は温度により変わりますか。

通常の物体から放射される電磁波エネルギーは、それと同温度の理想物体(黒体)から放射されるエネルギーと比べて一般的に小さい。
前者の後者に対する比をその物質を構成する物質の放射率εといい、0から1までの値をとります。
一般に物質の放射率は電磁波の波長により異なり、その波長に対する特性はそれぞれの物質に固有のもので、これをその物質の放射スペクトルといいます。
放射スペクトルに示されるような波長別の放射率の事を分光放射率といいます。
分光放射率の全波長域にわたって平均値を用いる場合、全放射率といいます。
分光放射率は温度によらず一定と云ってよいでしょう。
もちろん温度が高くなると若干短波長側によりますが、その効果が変化するほどは変わりません。
以下データによって示します。
サンプルとしてジルコン磁器を用い、200℃、500℃で分光放射率を測定した結果です。
ほとんど変わらないことから、分光放射率はその物質固有のものであることが分かると同時に温度が変化してもほとんど変わらないことが分かります。

200度Cの分光放射率 (放射スペクトル)

200度Cの分光放射率 (放射スペクトル)

500度Cの分光放射率 (放射スペクトル)

500度Cの分光放射率 (放射スペクトル)