36.プラズマ溶射による遠赤外線ヒーターとは何ですか。

溶射技術は金属の防食や機械部品の肉盛り等金属材料の保護として発展してきました。
近年は時計やアクセサリ等の装飾技術として注目され幅広く採用されています。
材料はセラミックスで約3000℃の高温で溶解し、プラズマジェットで高速で金属基材(被加工物)表面に吹き付け溶着させるものです。
その結果、金属基材は元の性質と異なる物体となります。
これをプラズマ溶射といい、熱源は電気でセラミックス材料は造粒して用います。
最近では金属基材以外にも用途を広げるため、熱源にガスを使い、セラミックスは粉体を使用した低温溶射(ガス燃焼式)も見られるようになりました。
高融点の材料はプラズマ溶射、低融点の材料を使用する場合はガス溶射と住み分けができます。
棒状の遠赤外線ヒーターは 古くからある金属であるステンレスを使用したシーズヒーター表面に遠赤外線を放射する複合セラミックスをプラズマ溶射したものがあり代表的な使用例です。
工程としてブラスト処理してヒーター表面を荒らし、互いの膨張率を縮めるためアンダーコーティングし、その上にプラズマ溶射します。
しかしプラズマ溶射はポーラスなため耐食や耐絶縁等に不具合が生じやすく、またいかなる処理をしても金属とセラミックスの膨張率の違いから熱により剥離の心配があります。
そのため複合セラミックスに金属を混合しサーメットで溶射する方法もとられています。
しかし程度の差こそあれ同様な結果になる可能性もあり、遠赤放射体の割合が落ちることから遠赤外線放射性能も落ちます。
そこで溶射技術に代わる遠赤外線放射素子の表面コーティング技術も発展してきています。
例えば遠赤外線放射複合セラミックスと無機バインダーで構成された材料をシーズヒーター表面に焼成させたものがあり、シーズヒーターの膨張に合わせることができれば金属表面の酸化は避けられ、剥離の心配も少なくなります。