29.遠赤外加熱による木材塗装は難しいと聞いていますが。

金属塗装やプラスチック塗装と違い木材塗装する場合、大きな違いがあります。
塗料がラジカル反応する 不飽和ポリエステル樹脂塗料、 油ワニス、 酢酸ビニル樹脂塗料 、スチレン、 メチルメタアクリレート などの塗料を使用した場合、重合できなかったり、 反応時間が遅くなったりする現象が起きるという報告があります。
この重合阻害については多くの研究が行われ、木材中のフェノール系成分が原因であるといわれています。
文献によると不飽和ポリエステル樹脂の重合阻害をする木材はスギ、ケヤキ、カキ、ローズウッド、マホガニー、さくら、チーク材等多数あります。スチレンにはスギ、カラマツ、ヒノキ、マカンバ等、また塩化ビニリデンにはスギ、エゾ松等が重合阻害を起こすようです。
防止対策してポリウレタン樹脂シーラーの下塗りにより木材との接触をさせないようにする方法と木材をアセチル化して阻害物質を不活性にする方法がとられています。
塗装された木材を強制乾燥するには、木材の含水率、雰囲気湿度を一定に保つように加熱温度と湿度と換気に注意することが重要です。
また、木材の寸法変化を起こさないようにするには含水率を10%に保つことが重要です。
さらに重要なのは 塗装する前に木材を十分乾燥させることです。
木材に含まれている水分は通常の水分乾燥と違い、表面とか内部に含浸している水分だけでなく木の中を通る導管に水が残っているからです。これを抜くのはなかなか困難です。時間をかけて乾燥しなければなりません。