24.塗装乾燥の方法はいろいろありますが、それぞれの特徴を教えてください。

塗装乾燥の種類には、塗装前の洗浄後の乾燥、塗装後の溶剤の乾燥、塗装後の焼付があります。従来は熱風乾燥が主流でしたが、最近では近赤外線や遠赤外線が多く使用されるようになってきました。それぞれの特徴を整理しましょう。

1. 熱風乾燥

熱源で空気と熱交換を行って強制対流により塗膜に熱を与える方法であります。

1)被加熱物の大小の混合物でも均一に処理できます。同様に塗装色による差異も起きません。

2)目的温度で加熱すると初期に塗装表面に膜を張ります。その後塗膜内部の溶剤が塗膜を突き破りピンホールができます。これを避けるため低温長時間加熱で溶剤を蒸発させてから目的の温度で目的の時間加熱します。そのため処理時間がかかります。

3)対流で風を送るためゴミの発生が起きます。

2. 近赤外線乾燥

ガラス管内に不活性ガスを封入しタングステンフィラメント等の熱源を取り付けた波長の短いヒーターでの加熱乾燥。

1)ヒーターの立ち上がり時間が非常に短く軽量のヒーターを使用した乾燥方法。

2)不活性ガスを使用しているのでヒーターの電力密度を大きくとれる。

3)クリーン加熱である。

4)塗料の色差による温度差が大きい。

5)機械的衝撃に弱く寿命も短い。

6)乾燥室内の雰囲気温度が上がらず陰になった部分の昇温が遅い。

7)塗料は一般的に近赤外線領域での吸収体は少ないため、急速加熱ではワキと言われる発泡現象が起きるためセッティング時間が必要となる。

3. 遠赤外線乾燥

波長が3μ以上の熱源を使用したものを遠赤外線加熱と言います。使用システムは近赤外線乾燥と近似していますが、波長の違いに起因する加熱現象の違いが大きな特徴であります。

1)塗料の色差による温度差が小さい。

2)塗料は遠赤外線吸収率が大きいため塗膜品質を損なうことなく短時間加熱が可能である。

3)温度制御が容易なため良好な温度分布が得られ、品質の向上も得られる。

4)クリーン加熱としても有効である。

5) 立体的な被加熱物の場合、陰になるところの昇温は遅いので、ワークを回転させるか風を併用するか工夫が必要である。